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2011-12-15

ヘヴン 川上未央子

「ヘヴン」はどこにある?

「僕とコジマの友情は永遠に続くはずだった。もし彼らが僕たちを放っておいてくれたなら―」
驚愕と衝撃、圧倒的感動。涙がとめどなく流れる―。善悪の根源を問う、著者初の長篇小説。
(「BOOK」データベースより)

平易な文章に、まずホッとしました。食わず嫌いしなくて良かったです。
何せ初・川上作品が『わたくし率 イン 歯ー、または世界』でしたからのう。一冊目の選び方って大切ね!

前半は、壮絶ないじめにあいながらも、ひっそりと寄り添う2人を応援してました。
“僕”がコジマに髪を切らせるシーンは、すごく良かったですし。
ただもー、暴力的なシーンが多いのが読んでて辛い。

そして…後半から、何だかコジマがコワイことに。神がかってきちゃいましたよ。
“僕”の斜視をまるで聖痕のように扱い、自らも同じように「しるし」を持とうとする。
“僕”の最大の理解者かと思いきや、
結局、彼女も自分の世界に“僕”を巻き込んでいただけだったのか…と哀しくなりました。
一方で、その一途さがまるで殉教者のようで痛々しくもあります。

結局、作者の言いたかったことは、百瀬の台詞に集約されているのでしょうか?
物事自体に善悪はないってこと?
「善悪の根源を問う」とは、えらく哲学的なテーマですが、
それを「いじめ」というモチーフで書くと、なんとも救いのない話に…。
いろいろと考えさせられる作品ではありますが、実際いじめにあっている子や、
過去あっていた人がこの作品を読んでも救われないだろうなぁ。それを目的とした作品ではないんでしょうけれども。
「BOOK」データベースの「圧倒的感動。涙がとめどなく流れる~云々」は、正直、言い過ぎだと思います。

「なあ、世界はさ、なんて言うかな、ひとつじゃないんだよ。(略)
 みんな決定的に違う世界に生きてるんだよ。最初から最後まで」

だから自分の世界を守るだけの「ちから」を身につけて、力ずくで他人を巻き込むしかないんだと百瀬は言う。
しかし最終的に“僕”はそれを拒否し、斜視の手術を受けて、美しい(しかし美しいだけの)世界を手に入れますが…。
「ある出来事」の後の、コジマや百瀬、二宮たちがどうなったのかは完全スルー。えええええ。
勧善懲悪万歳!好きな言葉は因果応報!のMとしては、モヤモヤが残るばかりでした。

しっかし百瀬よ、中学生で君みたいな人生観だったら、普通空しさのあまり自殺してると思うぞ。
(そもそも、こんな老成した…というかひねた中学生がいるかー!ということは置いといて)

「地獄があるとしたらここだし、天国があるとしたらそれもここだよ。ここがすべてだ。
 そんなことにはなんの意味もない。そして僕はそれが楽しくて仕方がない」

そんな人生、楽しいかねぇ。


ヘヴンヘヴン
(2009/09/02)
川上 未映子

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2011-11-06

10月読了本

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)』 伊藤計劃
9・11以降、途上国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィスは、
その混乱の陰に常に存在する謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かうが…(「BOOK」データベースより)
「先進国の平和は、途上国の血の上に成り立っている」という近未来を描いた作品。
ここまで極端ではないにせよ、今私が享受している豊かさは、途上国の人々の労働の上に成り立っているわけで…。
目を背けたい、見なかったことにしてしまいたい真実と、“言葉”が持つ力と恐ろしさが描かれています。
翻訳モノを読んでいるような固い文章や、やたらと頻出する略語など、読みにくい部分もありますが、
数々の冠を獲得したのもうなづける作品でした。
しかし、34歳か…早すぎるなぁ。

八朔の雪―みをつくし料理帖 (ハルキ文庫 た 19-1 時代小説文庫)』 高田 郁
花散らしの雨 みをつくし料理帖』 高田 郁
主人公の澪は、大坂「天満一兆庵」で料理の基本を叩きこまれた料理人の卵。
今は「つる家」という蕎麦屋で働きながら、女将の芳と一緒に江戸で暮らしているのだが…。
人情てんこ盛り、まるで澪の作る料理のようにホッとさせてくれる作品です。
つる屋の親父さんがちょいとセンチメンタル過ぎるような気もしますが。
2作目からは登場人物も増え、いろいろとややこしくなりそうな予感。
澪の恋の行方は?行方知らずの若旦那はどこに?
続きは気になりますが、ゆっくり読み進めていきたいシリーズです。ああ、茶碗蒸し食べたい。

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)』 伊坂 幸太郎
引っ越してきたアパートで出会ったのは、悪魔めいた印象の長身の青年。
初対面だというのに、彼はいきなり「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかけてきた!(「BOOK」データベースより)
なるほど、こっち系の…もごもご。
ネタバレになりそうなので、あまり多くは語れませんが、さすがにバッチリ決まってます。
…でも後味は悪い。さっくさくと人が死にますなぁ。いくら生まれ変わりを信じているからって(汗)
動物が傷つけられる記述も多いので、作品の良し悪し以前にそこがダメって人も多いようです。
上手いとは思うけど、あまり好きな作品ではない…。
でも映画は良く出来ていたらしいので、ちょっと観てみたいです。(しかし、これをどうやって映画化したのだろう?)

鏡の偽乙女 ─薄紅雪華紋様──薄紅雪華紋様─』 朱川 湊人
大正三年、東京。画家を志し、家を飛び出す槇島風波。闇を幻視する美貌の天才画家、穂村江雪華。
根津蟋蟀館に集う異形の面々。心を略奪する美の蒐集家。変わりゆく帝都を彷徨う未練者たちの怪異。
(「BOOK」データベースより)
大正モダンな時代と怪異。これはまたMのストライクゾーンですよ!
ちょっと『平安妖異伝』を思わせる設定。芸術にはさまよう魂を昇華させる力があるのですなぁ。
とらえどころのない雪華と、体育会系画家(?)風波のコンビもいい。(『陰陽師』の晴明と博雅っぽい?)
死んでもなお執着を捨て切れない、人の弱さが哀しうございますな。
“未練者”として、この世に留まる代償として奪われるのが「心/思い出」というのも切ない。


その他
宇宙のみなしご (角川文庫)』 森絵都


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2011-10-27

9月読了本

日輪の遺産 (講談社文庫)』 浅田次郎
帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に隠したという時価二百兆円の財宝。
老人が遺した手帳に隠された驚くべき事実が今、明らかにされようとしている。(「BOOK」データベースより)
うーん…どうにもピンとこなかったです。
“過去”と“現代”の話が交互に語られる『シェラザード』のような構成なんですが、
“現代”の部分がどうにも蛇足としか思えない。
さらに(白文字にしてます。ネタばれ注意→)少女たちが集団自決した時点で、
すっかり読む気がなくなってしまいました。読んだけど。
無理があるというか…ただもう「泣かすためのエピソード」に思えてしまいました。
ラストもチト強引。確かに痛ましい光景ではあるけど、だからといって250億ドルという大金を手放しますかねぇ。

用心棒日月抄 (新潮文庫)』 藤沢周平
君主毒殺の密談を耳にしたことから、脱藩を余儀なくされた青江又八郎。
藩からの刺客をかわしながら、江戸で暮らしていたが…。
又八郎の脱藩に用心棒稼業、さらには赤穂浪士たちのエピソードまでが絡み合う構成は見事。
緊迫感溢れる斬り合いのシーンはもちろん、口入屋のタヌキな親父・吉蔵と、子だくさんの用心棒仲間・細谷との
とぼけた掛け合いも楽しめるエンターテインメント作品です。
本作がとても良かったので、かなり期待値を上げてシリーズ第二作『孤剣ー用心棒日月抄』を読んだのですが…
何だかこちらはイマイチ。途中で断念してしまいました。むむぅ。

花のれん (新潮文庫)』 山崎豊子
夫婦で始めた寄席経営が軌道に乗りだした矢先、夫が借財を残したまま妾宅で死亡。
残された多加は死にもの狂いで仕事に打ち込むが…。吉本興業の創業者・吉本せいをモデルにした女の一代記。
先月読んだ『花埋み』に続く「女の生き様シリーズ その2」。
夫の吉三郎は「仕事キラーイ、遊んでたーい」という正統派ダメ男。
物語前半は、そんな夫に耐え続ける多加が歯がゆい!
しかし、彼が亡くなってから経営者としての才能を開花させ、どんどん事業を拡大していく様子は痛快で目が離せません。
仕事と引き換えにしたものも多いけれど、自分の能力を思うさま発揮し、最期は芸人達に看取られて亡くなる…
何とも天晴な生き様だと思います。
そしてこの作品、一番の魅力は何と言っても軽やかな大阪弁のリズム。
テンポよく読めて、値切り合戦もえげつなくならないのが凄いw

北斎の娘』 塩川治子
葛飾北斎を支えた実の娘お栄、画号を応為。婚家を追われ、父を手伝い支えつつ、
女の性にくるおしく惑いながら、画家としての自立を模索する。(「MARC」データベースより)
「女の生き様シリーズその3」w
絵師という仕事柄か、前2作の主人公たちよりも自由に生きている感じがします。
偉大な絵師を父に持ち、父の片腕としての自分と絵師としての自分との間で、もがき苦しむ人生…かと思いきや、
本作に描かれている彼女は意外と冷静。
絵師として父を尊敬しながら、どこか冷たい観察者の目で、その弱みを看破しています。
結局、似たもの同士なんですねぇ。「何かに憑かれた者」同士。
それは時に凡人を怯えさせるほどの激しさを秘めています。
そして平凡な女の幸せを捨てながら、捨て切れない女としての揺れや嫉妬、空しさ。
でも、それすらも絵に昇華しながら生きていく…凡人にはとても真似できない苛烈な生き様ですが、だからこそ憧れます。

その他
『昆虫探偵 シロコパk氏の華麗なる推理』 鳥飼否宇
『図書館の海』 恩田陸 ※再読
『ほぼ日手帳公式ガイドブック2012』 ほぼ日刊イトイ新聞


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2011-10-14

『昆虫探偵 シロコパk氏の華麗なる推理』 鳥飼否宇

精巧すぎる彼らの生態が、一番の謎。

葉古小吉はある朝目覚めるとゴキブリになっていた。
無類のミステリ好きだった彼は、昆虫界の名探偵、熊ん蜂シロコパκの助手となり、
人の論理が通用しない異世界で巻き起こる複雑怪奇な難事件を解決していく!(「BOOK」データベースより)

イントロである「前口上」の章では、「…ちょっと無理かも」と思いましたが、予想外に楽しく読んでしまいましたw
本格ミステリも昆虫も苦手なのに。
登場昆虫の、奇をてらい過ぎたややこしい名前にチト面食らいますが、慣れてしまえばスイスイ読めます。
仕事で虫に関するトリビアを調べることがあるため(どんな仕事だよ、というツッコミはなしで)、
常々「昆虫ってやつぁ、本当に良く出来てんなぁ」と思っていました。
この作品にも、そんなトリビアが満載で非常に興味深かったです。

そのうえ死体消失に密室殺人と、本格ミステリとしての体裁も見事に整っているのが見事。
しかも、全篇に元ネタというべき作品があり、パロディの形を成しているという凝りよう。
本格ミステリへの愛を感じますなぁ。
私が既読だったのは『絡新婦の理』(本作中のタイトルは「ジョロウグモの拘」)だけでしたが、
何だか他の本家も読みたくなってしまいました。
(昆虫の)世の中には不思議でないことなど何もないのだよ!

あ、各章のアタマに、それはそれは細密な昆虫のイラストが載っているので、ホントに虫ダメ!!な人は要注意です。
ちなみに第一章のイラストは「ヤマトゴキブリ」。思わず付箋で隠しました…onz



「怨恨による殺害などという無意味な行為はニンゲンなどという救いがたい存在に神が与えた罰だろう。」

憎しみから同族を殺したり、それを隠そうと小細工を仕掛けたりするのは人間だけなのですねぇ。



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2011-09-20

8月読了本

アナザヘヴン〈上〉 (角川ホラー文庫)』 飯田譲治・梓河人
東京を震撼させる連続殺人事件が発生した。犯人は被害者の首を切り取り、脳を料理して食べていたのだ。
ベテラン刑事飛鷹と部下の早瀬は犯人らしき女を追いつめ、事件は解決するかにみえたが…。(「BOOK」データベースより)
うん、グロい。いっそ爽やかなぐらいグロい。でも、それがずーっと続く訳ではないので、飽きずに読み通せます。
あとがきにもありましたが…とにかく自由に書いたなー、という印象。グロさはともかく、設定自体がブッ飛んでるというか、
かなりSF(?)なので、受け入れられない人も多いかも。

花埋み (新潮文庫)』 渡辺淳一
明治初期、女性が学問をすることが許されなかった時代。さまざまな偏見や障害を乗り越えて、
日本で最初の女医となった荻野吟子の波瀾に富んだ生涯を描く。(amazon内容紹介)
こういう勇気ある優秀な女性が、今の社会の礎になったんだなぁとしみじみ。
医学校時代の男どもの幼稚ないじめには、怒りのあまりプルプルしましたー!!
晩年はずいぶんと寂しいものになってしまったけれど、彼女は常に自分の意思で生きてきた。
この時代、それがどんなに大変なことか…自由な時代に生まれたことに感謝するとともに、
だらだらと過ごしている自分を反省。

言い寄る (講談社文庫)』『私的生活 (講談社文庫)』『苺をつぶしながら (講談社文庫)』 田辺聖子
恋、仕事。欲しいものは手にいれた、31歳の乃里子。でも、唯一心から愛した五郎にだけは、どうしても言い寄れない。
田辺聖子「最高傑作」三部作。30年の時を経て復刊。(「BOOK」データベースより)
最初の3ページくらいで嫌になりましたが、シリーズをまとめ買いしてしまったので、ナナメ読みですが一応読了。
正直期待ハズレ。主人公はもちろん登場人物の誰にも共感できなかったです。
でも、amazonの評価は高いんだよなー。私の恋愛偏差値が低すぎるからでしょうか…。

竹光始末 (新潮文庫)』 藤沢周平
世の中変っても、変らないのは男の心―。小説巧者藤沢周平が、世の片隅で生きる男たちの意地と度胸を、
ユーモラスに、陰翳豊かに描く傑作時代小説全6編。(「BOOK」データベースより)
何だか情けない、でも憎めない侍達を描いた短編集。
求職中の心許なさと、サラリーマンの侘しさを描いた(?)表題作『竹光始末』と、
一刀流の遣い手なのに、子供にはなめられ女房には怒られる『恐妻の剣』が良かったです。
全編を通じて、登場人物たちが奥さんに対して弱気なような…。男性が読んだら、しんみりしてしまうかもしれません。

鳩笛草―燔祭・朽ちてゆくまで (光文社文庫)』 宮部みゆき
再読。感想はコチラ

本ではないですが、友人に借りた『黒執事』(1)~(12)と、『ちょっと江戸まで』(1)~(5)を一気に読破しました。
面白かった…!だけど、この夏休みの過ごし方はどうなの…!
その後、なぜか勢いで『コクリコ坂から』を購入。
うーん、いかにも昔の少女マンガという感じで…なぜジブリがこの作品をアニメ化しようと思ったのか謎。
設定は原作のままじゃないようですが。
そしてついに!
『ポーの一族』に手を出してしまいました…。



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プロフィール

本読み人M

Author:本読み人M
8割方活字でできています。
ミステリや時代モノといった
エンターテインメント小説が大好物。
摂取した活字の感想を
吐き出して参ります。

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