--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2009-02-26

チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷 塩野七生

“イタリア皇帝”の座に最も近づいた男。

「イタリア。この言葉は、何世紀もの間、詩人の辞書以外には存在しなかった。当時のイタリアには、
フィレンツェ人、ヴェネツィア人、ミラノ人、ナポリ人はいても、イタリア人はいなかったのである」

ルネサンス期に、初めてイタリア統一の野望を抱いたチェーザレ・ボルジアの生涯を
描いた一冊。硬質な文章と、舌を噛みそうな人物名(アスカーニオ・スフォルツァとか、
ヴィッテロッツォ・ヴィッテリとか)に苦労しますが、とても興味深い一冊です。

彼については、「イタリア統一を目論み、弟を殺し、妹を政略結婚させまくっていた
<毒を盛る男>」くらいの知識しかありませんでした、恥ずかしながら。
野心家で残虐な男というイメージがあったのですが、暴君ではなかったのですね。
諸国から恐れられ憎まれていた半面、絶対の忠誠を誓う部下を持ち、民心を掴み、
親ボルジア派の人間も多くいたというのは、チト意外でした。
しかし、横暴ではないにしろ、徹底した合理主義者。
使えるものは法王でもフランス王でも使う。目的のためなら嘘もつくし脅迫もする。脅威は躊躇なく排除する。
いやはや、いっそ気持ちが良いほどの唯我独尊ぶり。
庶民のMはまったく共感できませんが…しかしまぁ、「良い人」では国は治め切れませんからな。
その果断その冷徹は、まさに皇帝にふさわしいと言えましょう。

しかしそれほどの器量を持った彼をして、イタリアを統一せしめることができなかったのは、
これはもう運命というほかありませんな。
病に倒れ、父法王を亡くしてからの転落ぶりや、最後は名もない雑兵たちの槍に斃れた姿を
見るにつけ、人知の及ばぬ力の存在を信じずにはいられません。
自軍の旗印に書かせたという彼のモットー、

“Aut Caesar aut nihil”(皇帝か無か)!

が何とも皮肉なものに思えました。


チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷
(1982/09)
塩野 七生

商品詳細を見る


↓ブログランキングに参加しています。皆様の温かな1ポチを!
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

↓もひとつおまけに。

スポンサーサイト

theme : ブックレビュー
genre : 本・雑誌

2009-02-15

金春屋ゴメス 西條奈加

過去と近未来が融合した、新感覚お江戸ファンタジー。

第17回ファンタジーノベル大賞受賞作。
この賞の受賞者(あるいは候補作に挙がった方)にはMお気に入りの作家さんが多く、注目しています。
森見登美彦さん然り。恩田陸さん然り。小野不由美さん然り。

まず設定からして従来の時代ものとは一線を画しています。
近未来の日本に、「江戸」というもうひとつの国を出現させるというアイデアが見事。
事件の真相も、このバックボーンを十分に活かしたものになっています。
しかしながら、この設定をまず理解させるため、特に前半はどうしても説明的になってしまっています。
そのためか、いまいち登場人物が描き切れておらず、どうにも存在感薄く感じてしまいました。
主人公である辰はもちろん、タイトルにもなっている長崎奉行・ゴメスも、
「容貌魁偉、冷酷無比、極悪非道、厚顔無恥」(しかも頭脳明晰)という
ものすごくインパクトのあるキャラクターにもかかわらず、それがまだ生命力を持っていなかったような。
そんな訳で、すごく面白い設定だと思うのにイマイチのめり込めず、
物語の後半はやや冗長的に感じてしまいました。
キャラクターの魅力、というのはMの中ではかなり重要度の高いものなので・・・。

この作品、すでに続編が出ているとか。
続編では、説明過多になってしまう心配はなさそうですね。
きっと登場人物たちが活き活きと大暴れしてくれるはず!と期待しています。


金春屋ゴメス金春屋ゴメス
(2005/11)
西條 奈加

商品詳細を見る


↓ブログランキングに参加しています。皆様の温かな1ポチを!
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

↓もひとつおまけに。


theme : ブックレビュー
genre : 本・雑誌

2009-02-07

1月の読了本

聚楽―太閤の錬金窟(グロッタ) (新潮文庫)』 宇月原晴明
日本ファンタジーノベル大賞受賞作「信長―あるいは戴冠せるアンドロギュヌス (新潮文庫)」の続編です。
豊臣秀吉の治世。摂政関白とあだ名された豊臣秀次は異端の伴天連ポステルと
聚楽第の地下で夜ごとの秘儀を繰り広げていた。
その謎を巡る家康・三成らの諸侯や蜂須賀党・服部党の乱破たち、イエズス会異端審問組織たちの
暗躍を描いた、絢爛豪華な伝奇小説。
グロテスクなほどのオカルティズムに酩酊するべし。
服部党の乱破・平六がメチャクチャ格好いいです。

草原からの使者―沙高樓綺譚 (徳間文庫)』 浅田次郎
こちらも既刊『沙高樓綺譚 (徳間文庫)』 の続編です。
各界の名士が集う秘密クラブ。
そこで語られる、不思議な話の数々…という設定は相変わらず魅力的。
でもイマイチ引き込まれるような話はなく、
グッと胸に迫る話が収録されていた前作の方が個人的には好みでした。

その他
『四畳半神話大系』 森見登見彦
『ジョーカー・ゲーム』 柳広司
『クリエイティブ・シンキング』 松林博文
『四人の兵士』 ユベール・マンガレリ
『宮沢賢治選集』
『花宵道中』 宮木あや子


↓ブログランキングに参加しています。皆様の温かな1ポチを!
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

↓もひとつおまけに。

theme : ブックレビュー
genre : 本・雑誌

2009-02-01

花宵道中 宮木あや子

全身で男を愛する、遊郭の女たち。

吉原に暮らす遊女たちの姿を描いた短編集。
第5回R-18文学賞(大賞・読者賞)受賞作です。

R-18と冠されているだけに、もちろん性描写は多く見られます。
しかし、描かれているのは行為自体ではなく、あくまで彼女らの心であり、
その背後にある物語であります。
恋愛において、ほとんどタブーというものがなくなった現代ですが、
遊郭の世界では恋愛そのものがタブーなわけです。
そのことを十分理解していながらも、恋に落ちてしまう遊女たちの姿が本当に切なく哀しい。

「十六夜時雨」では、恋に流されないように必死に抗う八津の姿に、私、落涙いたしました。
そして最終的に彼女が選んだ道にも。
まさか官能小説で泣かされるとは思いませんでしたよ。

そして、この作品について特筆すべきは、文章の美しさ。
表題にもなっている「花宵道中」で、朝霧が半次郎と恋に落ちる瞬間の一節は本当に美しい。

「男の手は温かく、指は花の蔓のように朝霧の指を絡める。(略)
その蔓が持つ熱で痺れたように、絡んだ指を振り解けない。見つめられ、熱は雫のように溜り、朝霧の体の真ん中には炎の柱が立つ」

女の心と体は常につながっているのです。その結びつきは、男性よりも強いような気がする。
「心は嫌なのに、体が…っ」(笑)なんてのは、一部の男性の幻想に過ぎません。
この作品を男性が読んだら、どう感じるんでしょうか?興味深いですねぇ。
しかし一方で、男性には読ませたくない、女性だけでこっそり読みたいという気もします。

ドラマ『失楽園』の撮影で、

「今日は心も濡れました…」

と、言ったのは川島なおみさんでしたが(けだし名言です)、
本当に心も濡れるような、極上の官能小説であり、恋愛小説です。


花宵道中花宵道中
(2007/02/21)
宮木 あや子

商品詳細を見る


↓ブログランキングに参加しています。皆様の温かな1ポチを!
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

↓もひとつおまけに。


theme : ブックレビュー
genre : 本・雑誌

プロフィール

本読み人M

Author:本読み人M
8割方活字でできています。
ミステリや時代モノといった
エンターテインメント小説が大好物。
摂取した活字の感想を
吐き出して参ります。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。