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2009-09-27

天切り松 闇がたり 第一巻 闇の花道 浅田次郎

大正の世に生きる、江戸の粋。

大正時代、東京で名を馳せた盗人たちの活躍を描いた作品です。
まるで講談話でも聞くような、歯切れの良い江戸弁が心地よい。

「それが俺らの稼業の、いやさ舞台の始まりだった。俺ァそのときはっきりと、大向こうから湧き上がる喝采を、この耳で聴いたんだ」

盗みを稼業とする安吉一家の面々は、誰もが一本筋が通っている。
真っ当な仕事じゃあないけれど、そこには確かに江戸者の美意識があり、義理と人情があるのです。
貧乏人からはビタ一文盗まず、金持ちから巻き上げた金は、惜しげもなく貧民や病人に施す。
その仕事振りは、まるで石川五右衛門か鼠小僧のようで痛快そのものです。
そして時には金目当てですらなく、ただ意地のためだけに命を張りもする。

「無益だって?ふん、いいかい閣下。世の中にゃ銭金より大事なもんが、いくらだってあるんだ」

とにかく、おこん姐さんが格好いい!
恋も仕事も鉄火なオンナ。気は強いが情も深い。
誇り高き女スリが、愛した男のために泣きながら地面にひれ伏す姿に涙いたしました。うぅ。
手は早いくせに、泣く子にゃ弱い寅兄ィの、意外な純情にも胸キュン(死語)ですよ。

安吉一座の面々が見せる一世一代の大仕事に、ただワクワクと耳を傾け、切ない別れに涙する。
何だか本当に講談話を聞いているような一冊でございました。
ああ、早く続きを読まなくちゃ!


天切り松 闇がたり〈第1巻〉闇の花道天切り松 闇がたり〈第1巻〉闇の花道
(1999/09)
浅田 次郎

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2009-09-20

鳩笛草 燔祭/朽ちてゆくまで 宮部みゆき

異能者たちの孤独。

予知能力、パイロキネシス、テレパシー。
生まれながらに不思議な力を持つ3人の女性を描いた中篇集。再読です。

愛してくれる両親や恋人がいても、能力を持ってしまった苦しみは、一人で背負わなければいけない。
異端である、という運命を背負った彼女たちは孤独です。
「なぜ自分は能力を持って生まれてきたのだろう?」という思いに捉われるだろうし、
貴子のように「正しい方向に撃たなければ意味がない」と考えるようになるのも無理はないのかもしれません。
自分を「装填された銃」に例える貴子。
自分の中にある、とびきり強力な銃――パイロキネシスの能力に振り回され、少しずつ狂気に囚われていく
彼女が痛々しい。

ふと、アメリカでガン・シューティングを体験したときのことを思い出しました。
10年以上前のことです。正直、興味本位でした。
しかし実際に拳銃を持ってみると、怖かったです、やっぱり。
拳銃そのものが怖い、というよりも「今、自分は人を殺すことができる」ということが、ものすごく怖かった。

もし、こんな力が生まれながらに「装填」されていたら?
きっと貴子と同じように考え、自分を正当化できる「悪人」を探して、引き金を引いてしまうのではないかしらん。
「燔祭」には続編『クロスファイア』があって、これがまた宮部作品の中では異色とも思えるくらい
容赦のない、救いのないストーリーです。
好き嫌いの分かれる作品のようですが、興味のある方はこちらもゼヒ。

鳩笛草―燔祭・朽ちてゆくまで (光文社文庫)鳩笛草―燔祭・朽ちてゆくまで (光文社文庫)
(2000/04)
宮部 みゆき

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2009-09-12

不連続の世界 恩田陸

“旅人”が垣間見た、この世の謎と不思議。

「あなたは常にパッセンジャー。通り過ぎるだけの人間。自分でも分かっているくせに」

『月の裏側』の塚崎多門が遭遇した謎と不思議を描くミステリ短編集。
多門君は好きなキャラクターだったので、再登場はうれしい限りです。
あの浮世離れ感が良いのよね。

随所に見られる、とりとめのないエピソードや、ついつい引き込まれてしまう思わせぶりなストーリーテリング。
恩田ファンにはたまりませんな。
ただ、導入が魅力的なだけにラストがうーん…というものも。

「木守り男」は、オカルトかトリッキーな謎解きものかはっきりさせてほしかったです。
いろんな要素が交じり合い、簡単にカテゴライズできないところが恩田作品の魅力でもあるんですが・・・
何だかスッキリしない。展開が強引すぎるように感じました。
「悪魔を憐れむ歌」は良かったです。
“古い土地が持つ力”ってスゴイ。恐ろしくも何故か心惹かれてしまうんですよねぇ。
「夜明けのガスパール」も好きな作品。
こういう心理トリック(というのかしら)は、手法としては古典的なのかもしれないけど、好きです。
ただ、初めに読んだときは彼の反応が、ちょっと唐突に感じました。
私の中の、淡泊な多聞君イメージとギャップがありまして…アレレ?と。
でも、「パッセンジャー」であったはずの多聞君の、人間臭く脆い一面を見ることができる作品ですね。

(他2篇)

不連続の世界不連続の世界
(2008/07)
恩田 陸

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2009-09-05

8月読了本

隠し剣孤影抄 (文春文庫)
隠し剣秋風抄 (文春文庫)』藤沢周平
様々な工夫を凝らした秘剣が登場する短編集です。
「竜尾返し」「鬼ノ爪」など、わくわくするようなネーミングが良い!
緊張感とスピード感に溢れる斬り合いの場面が読みどころです。
使い手の多くが小禄の、普段はあまり目立たない侍というところも魅力。
「必死剣鳥刺し」、「陽狂剣かげろう」、「暗殺剣虎ノ目」、
「盲目剣谺返し」(映画「武士の一分」の原作ですね)が好きです。

かはたれ―散在ガ池の河童猫 (福音館創作童話シリーズ)
たそかれ 不知の物語 (福音館創作童話シリーズ)』朽木祥
河童の子・八寸の、人間世界での活躍を描いた作品。
『かわたれ』では、両親の愛の深さと、それを幼いなりにしっかりと受け止めた麻の健気さに
胸が熱くなり、『たそかれ』では不知の司に対する真っ直ぐな思いに、またまたジンとしました。
犬のチェスタトンと八寸が静かに別れの挨拶を交わす場面も切なかった・・・。
児童文学ではありますが、むしろ「見えるものしか見ようとしない」大人世代が心打たれるのでは。

壬生義士伝 上 文春文庫 あ 39-2』浅田次郎
新選組諸士取扱役兼監察・吉村貫一郎の生涯を描いた作品。再読です。
守銭奴と呼ばれても、妻子を守り抜くという至極真っ当な道を、ただ一筋に貫いた貫一郎の姿に涙。
これを読んで、ちっとも心が動かないという人は日本人をやめた方がいいと思います(キッパリ)。

『終末のフール』伊坂幸太郎
『不連続の世界』恩田陸


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2009-09-02

【映画】つみきのいえ

アカデミー賞受賞作品をDVDにて鑑賞です。

絵本のような柔らかなタッチの絵。
セリフを一切入れないことで、主人公の抱いている深い喪失感が際立っています。
ナレーション入りバージョンもありますが、Mはない方が断然好きです!
(子供さんにはナレーション入りの方が見やすいかもですが)

過去の思い出が明るく温かいほど、現在の恐ろしいほどの静けさと孤独が胸に迫る。
こんな孤独を感じるくらいならば、いっそ思い出などなければよかった、と彼は思うでしょうか?

否。
ラスト、亡き妻のワイングラスと自分のワイングラスをそっと合わせるラストシーンは、
彼がこれからも続く孤独な日々を歩み続けていけることを、
その力を思い出から得ることができたのだということを感じさせるものでした。
思い出は、孤独を深めると同時に、孤独を優しく癒してくれるものでもあるのかもしれませぬ。

時間にしてわずか10分程度ではありますが、いやはや美しいアニメーションでございました。

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本読み人M

Author:本読み人M
8割方活字でできています。
ミステリや時代モノといった
エンターテインメント小説が大好物。
摂取した活字の感想を
吐き出して参ります。

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