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2010-01-24

博士の愛した数式 小川洋子

消えていく記憶と、消えることのない絆。 

「80分しか記憶がもたない」博士の家に家政婦としてやってきた私と、息子・ルートの日々を描いた一冊。

久々に再読しましたが、やっぱり良かったです!
私は完全な文系人間で、今でも数字は大の苦手。
高校時代の数学の成績は、ほとんど1か2でしたっけ…。(←あやうく留年するところでした)
そんな落ちこぼれMでも思わず引き込まれてしまう一冊です。

とにかく登場人物が、みな誠実なのですよね。
語り手である「私」は、学歴はないけれど、初めて触れる数学の世界に子供のように驚き、
魅せられる素直な女性。息子であるルート君も人を思いやることのできる男の子です。
二人は、真っ直ぐに、かつ博士を傷つけないよう注意深く
(といっても腫れものを触るようにではなく、思いやりをもって)博士と向かい合います。
そして、この二人に対して不器用ながらも、常に誠実に接する博士。
新しい家政婦さんのことを忘れないように、宿題を出したことを忘れないように、
誕生日の約束を忘れないように、体中にメモを貼りながら。

しかも、このいたわりに満ちた3人の関係が「人生のある一時期の濃密な絆」ではなく、
「ゆるやかに、穏やかに続く一生の絆」であることに、じわりと胸が温かくなるのです。
流れる時間とともに、自分を取り巻く環境や自分自身が変わっていく中で、
一つの絆を守り続けていけるというのは、とても稀有なことだと思うから。
どこまでも静かでやさしく、温かなラストシーンがとても好きです。

そして数字が、数式が、こんなにロマンにあふれたものだったなんて!
まったく目からウロコでありました。
数学アレルギーのMでさえこんな風に思えるのは、ひとえに小川氏の筆力の高さゆえ。
味気ないはずの数式が、まるで一編の詩のように語られているのです。

「自分が迷い込んでいた状況の混沌ぶりに比べ、たどりついた解決の地の、この清らかさは何なのだろう。
まるで荒野の洞窟から、水晶のかけらを掘り出したようではないか。
しかも誰一人、水晶を傷つけることも、否定することもできないのだ」

しばらくしたら、また読み直したい一冊です。

博士の愛した数式 (新潮文庫)博士の愛した数式 (新潮文庫)
(2005/11/26)
小川 洋子

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2010-01-20

紋切り型 花之巻 下中菜穂

お江戸の遊びは、ちょいと乙粋。

江戸時代に流行したという「紙切り遊び」が楽しめる一式。
桜を中心にした花の型紙と色とりどりの色紙、「桜と花の文化」についてのカードブックがセットになっています。
厳密に言うと、“本”ではないのですが…一応「ブックレビュー」にカテゴライズしてみました。

すぐに使える薄手の型紙も数種類入っているので(通常、型紙はコピーして使う)、
カッターとスティックのりがあれば始められます。
二つ折り(または三つ折り、五つ折り)にした色紙に、型紙を当てて図柄の通りに切り抜き、
ゆっくりと開けば出来上がり。
二つ折りのものなら、ぶきっちょMさんでもそこそこキレイにできましたよ。
型紙のデザインがまた、ミヤビでモダンでカワイイのです!

umeume
手帳に挟んで楽しんでおります。(かげの八重裏梅)

というか、この紋切り型を挟みたくて、こんなに地味なカバーにしたのです。むふん♪
でも、まだ地味ですね…。
ちなみに手帳は「ほぼ日手帳」、カバーは「ナイロンダークブルー」です。

botantan
春になったら模様替え予定♪(かげ落ち牡丹)


ちまちました作業が嫌いじゃない方は、ぜひ一度おためしを。



紋切り型 花ノ巻紋切り型 花ノ巻
(2007/05)
不明

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2010-01-17

時雨みち 藤沢周平

晴れも雨もある人のみち。

藤沢周平作品ふたたび。
武士、職人、商人・・・江戸に暮らす人々を描いた短編集です。
誰もが少しずつ、弱くてずるくて愚かしい。
苦しいことも嬉しいことも理不尽なこともある。
それでも人のみちは続いていくのですな。

「時雨みち」「幼い声」で描かれているのは“善意の皮をかぶった優越感”。
昔の女や幼馴染に見せる同情。親切なふり。心配しているふり。
これって誰もがやりがちなことですよね。自覚もないままに。
そんな薄っぺらい情をかけられた女が、男に向かってタンカを切る姿は切なくも見事!でした。

そして「飛べ、佐五郎」「おばさん」で描かれているのは“男の身勝手と無神経”。
敵が病気で死んだ途端、あるいは新しい女ができた途端に、手のひらを返したように女を捨てる男が登場します。
いや、別れるのは仕方ないんですけど、この男ら、捨てられた女がどう思うかどう感じるかということを一切考えてない。
女が何かを考えたり、感じたりするなんて思ってもないみたい。
その想像力のなさに腹が立つのよー!きいいっ。
「おばさん」の場合は、男の、というより若者ゆえの残酷さかもしれませんが。

その他、役人の何気ないひとことから疑心暗鬼になり、重大な失策を犯してしまう
「滴る汗」や、1人の男を家に招いたことで追い詰められていく「亭主の仲間」も秀逸。
物語を描き切らないことで、物語が終わってもなお続く、“逃れられない恐怖”を描いています。

また、この短編集には映画化された「山桜」も収録されています。
弥一郎が野江のために桜の枝を手折る出会いのシーン は、美しくて萌え萌えです。
ヒガシと田中麗奈ちゃんに脳内変換して読みましょう。

(全11篇)
時雨みち (新潮文庫)時雨みち (新潮文庫)
(1984/05)
藤沢 周平

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2010-01-11

12月読了本

ウエハースの椅子 (ハルキ文庫)』江國香織
完璧な恋。それは同時に終点であり、それ以上先に行くことができない。
1人の女性の毎日を淡々と描いているだけなのに、
ふいに全てが崩壊してしまいそうな危うさを秘めています。
まさに“ウエハースの椅子”のように繊細な作品。

訪問者』恩田陸
山奥の洋館。秘密を抱えた登場人物たち。
本格推理好きならずともテンションの上る設定・・・だと思うのですが。
どうもこの手の(本格派の色濃い)恩田作品とは相性がよろしくないようです。
つまらなかった訳ではないのですが、あまり印象に残らない作品でした。

宵山万華鏡』森見登美彦
現実と妖しの世界が入り乱れる祇園祭宵山の夜。
森見作品らしい奇想天外なものから、少し怖いお話までバリエーションに富んだ短編集。
でも… “万華鏡”のようにくるくると目の前を物語が流れていくだけで、
イマイチ森見世界に入り込むことができませんでした。うむむ。

自由恋愛 (中公文庫)』岩井志麻子
夫の不倫相手は女学校時代の同級生・・・という見事な昼メロ設定。
ドロドロなのですが、不思議とさらりと読めます。
朋子の傍若無人と言ってもいいほどの無神経な善人ぶりは鳥肌モノです。
古い価値観を振り捨て敢然と家を出る清子と、清子に対する意地を捨てて新たな縁を受け入れる朋子。
どちらが「勝った」というわけではなく、それぞれに自分らしい道を歩くラストが秀逸です。

小川洋子『博士の愛した数式』
藤沢周平『暗殺の年輪』
藤沢周平『時雨みち』
星新一『声の網』

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2010-01-03

明けましておめでとうございます

昨年は、つたないブログを読んでいただき(その上コメントや拍手まで!)、ありがとうございました。

Mは、年末は実家に帰って食べたり寝たり犬を愛でたりしておりました。
実家には「福島の赤い稲荷寿司」の二つ名を持つ柴犬、トトロがおるのです。

inari
リビングに横たわる巨大な稲荷寿司。

jitto2
そんなに見つめてもご飯は増えませんよ。

chiro
舌チロ・・・



・・・そんなわけでほとんど本が読めませんでした。てへっ。
こんなMですが、今年もマイペースで更新して参りますのでよろしくお願い致します!

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プロフィール

本読み人M

Author:本読み人M
8割方活字でできています。
ミステリや時代モノといった
エンターテインメント小説が大好物。
摂取した活字の感想を
吐き出して参ります。

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