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2010-04-29

沖縄文化論―忘れられた日本  岡本太郎

見えないものを信じる力。

沖縄(及び久高島)は、あの高名な芸術家をも魅了したようで…こんな本を書かれていたとは、ついぞ存じ上げませんでした。
明晰な思考と論理、端正な、でもどこかユーモラスな文章。
ぎょろりとした目を剥き出して、「ゲイジュツは爆発だ!」とやっているエキセントリックなイメージは微塵も感じられません。

DSCN2296_convert_20100429utaki.jpg
沖縄で岡本氏を最も感動させたものは、「何もない御嶽」 だったといいます。
写真を見ていただければわかると思うんですが、拝所である御嶽にはご神体も、祭壇もないのです。
世界遺産に認定された今では、道に石が敷かれ、手すりがつけられ、所々に説明書きがあったりするのですが、
岡本氏が訪琉した時の写真を見ると、道も舗装されていないし、今よりもさらに何もない。
岡本氏は、そこに人々の純粋な信仰心を見たわけですな。

日本の古代も神の場所はやはりここのように、清潔に、何もなかったのではないか。(略)
自然木と自然石、それが神と人間の交流の初源的な回路なのだ。
この素朴な段階でこそ、神と人間は相互に最も異質でありながら、また、緊密だった。
人間は神を徹底的に畏れ、信じた。

今やすっかり観光地化してしまっていましたが…。まぁ、私もミーハーな観光客の一人なんですけれども。
観光地化しないと維持できないけど、観光地化するとその場所らしさが失われてしまうという矛盾。
そのままであってほしいけど、やっぱり見に行きたいという都合のいい願い。
悩ましいですなぁ。

また、久高島においては死者が眠る場所すら「何もない」そうで。

久高島における墓は肉体を消滅させるための場所である。
そのとき魂(マブイ)は煙(ヒブイ)となって飛翔し、ニラーハラーへ行くのである。
(『日本人の魂の原郷 沖縄久高島』)

かの島では、死者は後生と呼ばれる場所で風葬にされていたとか。
本土から来た人間がその場所を撮影して雑誌に掲載する、という事件(何て無神経な!)が起き、
今では土葬や火葬になったようですが…。
体は魂の入れものでしかない、という考え方なのですね。
その一方で、沖縄本島のお墓がめっちゃくちゃ立派なのは、なぜだろう?
玉陵(たまうどぅん)も大変立派でやんした。
tama


最後に、心に残った一節を。

(立派な宗教建造物を建て、永遠を願う西欧とは異なり、沖縄の人々は)
その日、その日をその時その時を、平気で、そのまま生きている。
風にたえ、飢にたえ、滅びるときは滅びるままに。
生きつぎ生きながらえる、その生命の流れのようなものが永劫なのだ。

普段は全く意識することのない、大きな命の流れ。
それはきっと今でも沖縄という土地の底を流れている。
この土地が訪れる人を魅了してやまない理由は、こんなところにあるのかもしれません。
明るい日差しとか青い海とか白い砂浜とかソーキそばだけでなく。

沖縄文化論―忘れられた日本 (1972年) (中公叢書)沖縄文化論―忘れられた日本 (1972年) (中公叢書)
(1972)
岡本 太郎

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2010-04-17

日本人の魂の原郷 沖縄久高島 比嘉 康雄

神女が守る、神の島。

神々の島。12年に一度行われる、イザイホーという神事。
TVでふと目にし、池澤夏樹氏の『骨は珊瑚、眼は真珠』(イザイホーをモチーフにした短編が収録されている)を
読んでからというもの、久高島は気になる存在でありました。
今回の社員旅行でも、個人的に現地ツアーを申し込んでいたのですが…
残念ながらツアーが不催行になってしまい、行くことができませんでした(泣)。
せっかく本も借りて予習してたのにー!

琉球王国の滅亡、日本の近代化、開戦、異文化が流入してきた戦後…。
さまざまな転機を迎えながらも、仏教やキリスト教の影響をほとんど受けず、
自分たちの信じる神と祭事を守り続けてきたことに驚愕します。
比嘉氏も書いている通り、それはきっと押し付けられた価値観ではなく、
自分たちの心と暮らしている環境から生まれた信仰であるからなのでしょうな。
原始的で、他の宗教のように洗練されてはいないけれど、とても力強い。

この本に書かれている「魂」の考え方が池澤氏の『キップをなくして』にも通じていて、興味深かったです。
(今、画像をアップしようとして気づきましたが、この本の帯は池澤氏が書いているのですね!)

ひとりの人間の体内に入る魂はどうやら一つではなく、複数であると考えられていることがわかる。
その複数の魂はばらばらに存在するのではなく一塊になっているといわれている。

コロッコですね!
イザイホーというのは、島で生まれ育った女性(30~40歳くらい)が、
家を守るための力を持った神女(タマガエー)となるための儀式なんですけれど、
この場合の守護力っていうのは祖母霊のことなのだそう。つまりグランマ!
そして比嘉氏は、祖母霊が家を守ってくれるという考えの根拠は、愛護というものだと言っています。

母性の絆に発する守護力は、実際は母親をはさんで、祖母から孫娘へと継承されていく。(略)
守護力は三代ごとに完結し、一代重なりながらまたつぎの三代へとつなげられていくのである。
(略)孫娘は祖母に生前可愛がられた体験があり、この心情が守護力の根拠になっている。

私は宗教を持っていないので、「偉大な神が、天の上から全ての人間を見守っているのですよ」という考え方よりも、
「おばあちゃんがお台所の香炉(祖母霊が降りてくるとされる依代)から見守ってるよ」というこの考え方がすごく近しく感じました。

久高島(というか古代琉球)では、祭事は女性が中心となって行うものであり、
私が訪れた斎場御嶽もかつては男子禁制であったそうな。
utaki
「寄満(ゆんいち)」と呼ばれる拝所の、この垂れ下がった岩も女性の乳房なんだそうですよ。(←タクシーの運転手さん情報)
さまざまな祭事で歌われる神歌(テイルル)も、

百二十歳の寿命くるまで/夫が栄え/息子が栄え/男/女/守護神として/はべらせ給え

とか

百二十歳までも/タキが栄え/森が栄え/夫が栄え/息子が栄え/草分けの家が栄え/(略)久高人が行くところ/
絹のように波静かにしてください

という感じ。妻が栄え、娘が栄え…とは歌われていない。
別に女性サベツなのではなく、女性が守護する側で、男性はあくまで守護される側なのですね。
これは久高島の環境や生活様式が影響しているんだそうですが、
(貝を取って暮らしていたので、男性に優位性がなかった。←貝なら女性でも採れますからね。
むしろ子を産み、育むことができる女性にこそ神事を司る力があるとされた)
本当に、その土地で生まれ、その土地に根付いた信仰なんだなぁ、と思いました。

・・・続く。

日本人の魂の原郷 沖縄久高島 (集英社新書)日本人の魂の原郷 沖縄久高島 (集英社新書)
(2000/05)
比嘉 康雄

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2010-04-11

沖縄に行ってきました。

8日から2泊3日で、沖縄に行って参りました。
しかもプライベートではなく、社員旅行で。
このご時世に何という昭和な行事!

何でわざわざ会社の人たちと沖縄くんだりまで行かにゃならんのだ、と思いつつ、やはり行くからには楽しみたい!
・・・というわけで、4月に入ってからこっち、本と言ったらガイドブックしか読んでません!

沖縄では
utaki
沖縄最高の聖地といわれる斎場御嶽(せいふぁうたき)に行ったり。

blackcat
猫を撮ったり。

glassboat
お約束のグラスボートに乗ったり。

zampa
残波岬までサイクリングしたり。(灯台に登ったものの、怖くて展望台に出られなかったり)

sea1
海の美しさに感動したり。

sea2
ちょっと入ってみたり。
(ただ砂地に立っているように見えますが、水に浸かってるんですよー)

tama
玉陵に行ったり。

shureimon
首里城公園に行ったものの、入場料の800円を惜しんでメインの首里城を見ずに出てきたり。

soki
ソーキそばを食べたり。

cat
また猫を撮ったり。

してました。
来週からは本ブログに戻します・・・。(でも全然本読んでない)

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2010-04-06

3月読了本

きのうの世界』恩田陸
「古い土地が持つ力」というのは恩田さんが幾度となく取り上げてきた、
私も大好きなモチーフなのですが…この読みにくさは何でしょう!?
この作品は「突出した能力とその反動」というモチーフも備えていて、二つのモチーフが混在していることが
物語をややこしくしているのかしら。ミステリでもSFでもない…カテゴライズできないというのは
恩田作品の魅力でもあるのですが、この作品に関しては、そうは感じられなかったです。
おまけに群像劇でもあるので、登場人物も多いし。
恩田作品なればこそ最後まで読み通しましたが…途中で読むのを止めたくなりました。ぐすん。

黒い家 (角川ホラー文庫)』貴志祐介
再読ですが、やっぱ怖いわー。今でもMの中ではホラー部門の1、2を争う作品です。
同じ人間のはずなのに、全くその行動パターン・思考パターン理解できない。
人間の皮を被った何か別のものがいる、という恐怖。
心理学を基に、徐々に暴かれていく事実に、じわじわと背筋が寒くなります。
おまけに包丁を手に襲いかかる鬼女ときたら、これはもう問答無用の恐ろしさですよ。

新約聖書を知っていますか (新潮文庫)』阿刀田高
知ってるようで知らない旧約聖書の内容が、軽妙な文章で、ごくごく分かりやすく書かれています。
興味深く読みましたけれど、イスラムの宗教観・倫理観は、八百万の神々のおわす日本で生まれたMには
どうにも理解しがたく。きっと永遠に理解することはできないんだろうな…。
「嫉妬深くてわがままな」かの国の神様に比べて、我が神々の何と寛容なことか。

チーム・バチスタの栄光』海堂尊
話題作を今更ながら。ロジカルで着地も見事…でもイマイチのめり込めず。
上巻後半で、徐々に面白くなってきたのですが、下巻の白鳥登場でまた少しページをめくる手が鈍ってしまった。
原因は文章か、説明的な部分の多さか、単にキャラクターがMの好みに合わなかったのか…。
白鳥は、なるほど確かに伊良部先生ですね(奥田『イン・ザ・プール』)。
ただ、このタイプのキャラが前に出てくると、正直ウザイ。
伊良部先生はあくまで脇役だったから良かったんですけど…。

天切り松 闇がたり3 初湯千両 (集英社文庫)』浅田次郎
今回もまた、安吉一座の舞台にやんやと拍手を送っているうちに読み終えてしまいました。
道化の、落ちぶれた刀鍛冶の、病床の芸妓の誇り高い姿に涙し、寅兄ィの啖呵に大向こうを掛ける。
いやはや、どこを切っても美味しい金太郎飴のような作品です。
やっぱり寅兄ィは格好ヨスなぁ。意外とミーハーなおこん姐さんもカワイイ。

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Author:本読み人M
8割方活字でできています。
ミステリや時代モノといった
エンターテインメント小説が大好物。
摂取した活字の感想を
吐き出して参ります。

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