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2010-11-27

ハゲタカ 真山仁

焦土に舞い降りた“ハゲタカ”という侍。

ニューヨークの投資ファンド運営会社社長・鷲津政彦は、バブル崩壊後、不景気に苦しむ日本に戻り、
瀕死状態の企業を次々と買収する。敵対するファンドによる妨害や、買収先の社員からの反発を受けながらも、
鷲津は斬新な再プランを披露し、業績を上げていく。(「BOOK」データベースより)

ドラマと映画は観ていたのですが、読書系女子さんのレビューを拝見して、原作も読みたくなってしまいました。
いやはや面白い!
ドラマも良かったですが、ストーリーはこちらの方が断然上です。
一瞬で動く数億、数十億のカネ。互いを出し抜くための情報戦。腹の探り合いと、足の引っ張り合い。
あぁ、恐ろしい。こんな世界にいたら、Mは多分3日で吐血。
でも、小説としては最高にスリリングです!
経済にまっったく疎いMでも楽しく、興味深く読めました。

「日本が抱えている混沌を「外資」のせいにするのは、おかしいかも知れない。
連中は、ただそこにビジネスチャンスがあるから、群がってくるに過ぎない」

描かれているのは、ハゲタカの無情さよりも経営者の甘さと銀行の無責任さ。
特に、自分の既得権益を守ることを考えるばかりの経営者の厚顔ぶりには呆れるばかり。
フィクションではありますが、実際にいたんだろうなぁ、こういうオーナー社長…。
こんなトップのいる会社では絶対働きたくありません!

「多くの連中は、金を積んで借金を切り、人をクビにさえしたら、会社や街は蘇ると思っている。
だが、それは違う。再生に必要なのは、不屈の精神とリーダーシップを持った経営者だ」

超・合理主義者である鷲津の、精神論っぽいこの台詞は少々意外でしたが、企業もイキモノなんですね。
大掛かりな外科手術を施して手足を切っても、心臓や脳みそが腐ってたらどうしようもない。
巻頭で引かれている『武士道』の一節が重く心に響きます。

「不死鳥は自分で灰の中から生まれ飛び立つのであって、それは渡り鳥でもなければ、
他の鳥の翼を借りて飛ぶのでもない、ということを忘れてはならない」

鷲津は、誰よりもシビアで誰よりも日本の行く末を憂う侍でございました。
ハードボイルド感が強く、チト鼻白んでしまうところもありますが、ぜひご一読を。

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2010-11-23

【映画】蛮幽鬼


あらすじ(goo映画より引用):
無実の罪で監獄島に幽閉された伊達土門(上川隆也)。
10年の歳月が流れてもなお、濡れ衣を着せた者たちへの復讐を生きる糧にしている。
サジと名乗る男(堺雅人)の力を得て脱獄、復讐への道を歩み始めるが…。


ゲキ×シネ3作目です。
映像を多用していたのには少し面食らいましたが、面白かったー!
前回観た『五右衛門ロック』に比べるとシリアスな作品です。
が、そこはさすが新感線、笑わせどころもてんこ盛りで素晴らしいエンターテインメントに仕上がってました!

上川隆也さんは、復讐の念に凝り固まった男の演技も、ちょっとコミカルな演技も素敵でしたし、
堺雅人さんも「笑う暗殺者」という役柄にぴったり。
こういう捉えどころのない、うさんくさい役をやらせたら天下一品ですね。
早乙女太一君の殺陣の美しさはさすが。
スローモーションとかの加工なしで見せて欲しかったですなぁ。
新感線の役者さんで印象的だったのは、敵役三人衆の粟根まことさん、山内圭哉さん、橋本じゅんさん。
橋本さんのコール&レスポンスなんて、まさに舞台ならではですね。
ああぁぁ、ぜひ一度生の舞台を見てみたい!
大君役の右近健一さんも、出番は少なかったですが一番のインパクトでした。

ただ、母国と果拿(かだ)の国に裏切られたサジが、鳳来国にまで憎しみを向ける理由がチト薄かったように思いました。
それから土門が単細胞過ぎる!
元婚約者である美古都(稲森いずみ)にまで恨みを向けるところとか…ほとんど逆恨みですがな。
ひとつの恨みが暴走して周りを巻き込みながら増大し、
また新たな恨みを生んでいくことの空しさを描いた作品なのだとは思いますが。
ラスト、自らを縛りつけていた恨みつらみから解放された土門の、穏やかな表情が印象的でした。

ぬを~、次回作の『薔薇とサムライ』が早く観たい!!

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2010-11-20

中原の虹(1~4) 浅田次郎

“勲”を求めて、ひた走る男たち。
 
「汝、満洲の覇者となれ」と予言された貧しき青年、張作霖。のちに満洲馬賊の長となる男は、国の未来を手に入れるのか。
隠された王者の証「竜玉」を求め、壮大な冒険がいま幕を開ける。(「MARC」データベースより)

うーん、楽しみにしていた作品なのですが…私はやっぱり『蒼穹の昴』の方が好きです。
単に主人公に肩入れできたかできないかだけの(超私的な)差なんですが。
張作霖の人物像が、イマイチ掴めなかったのですよねぇ。
浅田氏は、ものすごいヒーローとして描きたかったようですけど…。
ラストでの彼の行動も―あまりに乱れた国を立て直すために天命のないことは承知で、ということなんでしょうが―
何だかピンとこなかった。姿勢が一貫していないように思えてしまいました。
それから、袁世凱。彼をどういうキャラクターとして描きたかったのかも、よく分かりませんでした。
物語と史実をムリヤリ結びつけたために、矛盾が生じちゃったように思えます。

しかも、ただでさえ激動の時代なのに、しばしば清王朝建国時代まで話が飛ぶので、展開についていくのが大変。
全体的に、バラバラと散漫な印象を受けました。
『蒼穹の昴』以来のキャラクターもたくさん出てくるのですが、チトやり過ぎて、ご都合主義的に感じられます。

…ああ、何か悪口ばっかりになっちゃった。これも期待値が高すぎた故、です。
しかし、西太后と光緒帝、テレグラムを介した二人のやりとりには涙いたしました。
いじわるな読み方をしてしまうと、ここに「泣かさんかな」という浅田氏の思惑が垣間見られなくもないのですが、
単細胞なMは、いつもその思惑に引っかかってしまうのです。てへ。

「我が勲(いさおし)は民の平安」

おそらく誰もが、自分なりのやり方で、この“勲”のために動いていると思うのですが、
その想いとは裏腹に、どんどん混沌を極めていく様が何とも皮肉です。

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2010-11-14

南のこどもが夜いくところ 恒川光太郎

寝苦しい南の夜の夢。 

「今年で120歳」というおねえさんと出逢ったタカシは、彼女に連れられ、遠く離れた南の島で暮らすことになる。
多様な声と土地の呪力にみちびかれた、めくるめく魔術的世界。(「BOOK」データベースより)

おなじみ恒川氏の異世界譚、本作は南の島が舞台になってます。
巻頭に収録されている表題作は、何だかオチらしいものもなく終わってしまうので
あららら?と肩すかしな感じがしましたが、どの作品も不思議な魅力にあふれており、楽しめました。
南の楽園を舞台にしたファンタジー…のようでいて、どれも結構シビアな面があるのがまた良い。
随所にちりばめられた、格言のような一節にハッとさせられたりもします。
異国の民によって、穏やかな島に知恵と災いが持ち込まれる『紫焔樹の島』、
自分がどんどん違うものに変貌していく様がグロテスクな『夜の果樹園』の2篇が特にM好みでした。

でも、何故か全体の印象が薄いんですよね。良い作品だと思うのですが…。
何か夢でも見たようにぼんやりしている。
どれも同じ世界を舞台にしているのですが、連作短編というほどのつながりはなく、
基本的にはそれぞれが独立した物語になっています。
それが物足りなさを感じた理由かしら。うーむ。

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2010-11-06

私の男 桜庭一樹

行間から漂う、甘い腐臭。

お父さんからは夜の匂いがした。狂気にみちた愛のもとでは善と悪の境もない。
暗い北の海から逃げてきた父と娘の過去を、美しく力強い筆致で抉りだす著者の真骨頂。(amazon内容紹介より)

内容が内容なので賛否分かれるのは致し方ないことでありましょう。
Amazonなどのレビューを読むと、この腐臭の虜になってしまう方も多いようです。

…が、Mはダメでしたー!父ちゃんキモーイ!!(こんな感想ですみません)

これはもう本能的な嫌悪感なので…正直、作品の善し悪しを冷静に評価できません。
愛においてほとんどタブーのなくなった現代でさえ、近親相姦(しかも親子)と小児性愛はどうにも受け入れ難い。

いろいろと評されていますが、結局「母親の愛を充分に受けられないまま大人になった男が、
娘にそれ(得られなかった愛情)を求めた話」という風にしか読めませんでした。
問題は、その「愛情」に性愛が含まれていたってことだけど…こういうの何て言いましたっけ。
エディプス・コンプレックス

ここで分からないのが花の気持ち。育ての母に疎まれ、疎外感を感じていた花が、
強く家族・血縁を求めていたというのは分かるんですが…ここまで受け入れてしまうのは理解に苦しむ。
花の出生の秘密については何となく想像できるのですが、花はそのことに感づいていたのでしょうか?うーむ。

二人の、この閉じた関係がどうにも苦手でした。世界に存在しているのは自分と相手だけ、というような。
私は菜穂子ちゃん(花の婚約者・美郎の元カノ)のように
「もっと、誰かとずっといっしょに、どうしようもない生き方がしたい」
とは思えないのですよねぇ。
要するに、怖いのかもしれません。

桜庭作品に触れるのはこれで2作目ですが、チト残念な結果になってしまいました。
しかし、これほどキモーイキモーイと思わせながらも、最後まで読ませてしまう筆力はさすがだと思います。

※エディプスコンプレックスとは、母親を手に入れようと思い、また父親に対して強い対抗心を抱いて、アンビバレントな心理を抱く状況を言う。
しかし、この概念に対しては批判も多い。(Wikipediaより引用・要約)


私の男私の男
(2007/10/30)
桜庭 一樹

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Author:本読み人M
8割方活字でできています。
ミステリや時代モノといった
エンターテインメント小説が大好物。
摂取した活字の感想を
吐き出して参ります。

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