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2010-12-29

『ハゲタカ 2』 真山仁

奈落の底で見たものは?

1年の海外放浪を経て、帰国した鷲津政彦が、まず標的に定めたのは、繊維業界の老舗「鈴紡」。
一方、鈴紡は元銀行員の芝野健夫を招聘し買収防衛を図る。
その裏には、かつての芝野の上司でUTB銀行頭取、飯島の思惑があった。
激烈な買収戦争で最後に笑うのは。(「BOOK」データベースより)

今回描かれているのは堕ちたカリスマ。
「会社は自分のもの」という思いが強すぎるあまり判断を誤り、結局は再生の足を引っ張る
かつての“カリスマ経営者”たちの姿はみっともなく思え、苛立たされますが、
彼らを“カリスマ”に祭り上げてしまった周囲にも責任があるのかもしれません。

「日本人の特徴なのかも知れない。
理解できる言葉と親近感を持つリーダーを味方だと思った瞬間、多くの人は盲従を始める。
この人についていけば安心だ、幸せへと導いてくれる。
戦後の日本経済を支えたのは、そういうリーダーとその信仰者だった」

そしてまた鷲津も堕ちる。
前作とは異なり、冷徹なヒーローというより意外に繊細で情の深い男として描かれています。
片腕であるアランの死に傷つき、自分自身の生き方に迷う。
仕事においても強引な政治介入によって鈴紡のディールに負け、自暴自棄になる姿は情けなく痛々しい。
坂口安吾『堕落論』の引用が効いてます。

「人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。
人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない」

「堕落すべき時には、まっとうに、まっさかさまに堕ちねばならぬ。道義退廃、混乱せよ。
血を流し、毒にまみれよ。先ず地獄の門をくぐって天国へよじ登らねばならない」

本作では2つのディールが描かれていますが、日本政府やアメリカの軍需ファンドまで絡んできて
かなりスケールがデカイことになっています。
そのため、少々ご都合主義的な展開が目につく部分もありますが…楽しめました!
軍需ファンド・プラザの卑劣ないやがらせには、ぞっとさせられましたなぁ。

「ビジネスとは数字と道理だけで回っているなんて思っていませんか。
ビジネスを動かしているのは、市場と欲望、そして怨恨です」

ぶるる・・・。恐ろしや、マネーの世界。
小説で楽しむだけにしておきたいものです。

ハゲタカ2(上) (講談社文庫)ハゲタカ2(上) (講談社文庫)
(2007/03/15)
真山 仁

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ハゲタカ2(下) (講談社文庫)ハゲタカ2(下) (講談社文庫)
(2007/03/15)
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2010-12-25

眠狂四郎無頼控(一) 柴田錬三郎

異色のダークヒーロー。

ころび伴天連と武家の娘の間に生まれた剣客・眠狂四郎。
埋められない虚無を心に抱えながらも、さまざまな事件と事情に巻き込まれ、その剣を振るうことになる。

リンクを張らせていただいている惺さん絶賛の一冊w
まず、ハーフという設定が斬新ですね。
日本人離れした彫りの深い顔立ちに、深い虚無感を漂わせた男。
邪剣「円月殺法」で邪魔するものを容赦なく斬り捨てる非情さを持ち、どう見ても“正義の味方”って感じじゃない。
その割に時々、サムライ魂を意気に感じて人助けをしちゃったり、女のために命をかけてひな人形(の首)を
取り返そうとしたりする人間臭いところもあったりして。このギャップが人気の秘密でしょうか。
男も女も、敵役までもが皆、彼に惚れてしまいますからねぇ。

少しずつ明らかになっていく狂四郎の出生時の秘密も、彼のキャラクター設定をより説得力のあるものにしています。
(この件、もっと引っ張るのかと思いきや…意外と早い段階で張本人が斬られてしまったので、チトびっくりしました)
一篇一篇はとてもコンパクトで読みやすく、武家モノから人情モノ、恋愛モノまで取り揃えたサービス満点のエンタメ作品です。 映画や舞台など、いろいろな媒体で作品化されているのも納得。
個人的には、賭場でヘッドハンティングされた掏摸・金八君が好きだな~。

眠狂四郎無頼控 (1) (新潮文庫)眠狂四郎無頼控 (1) (新潮文庫)
(1960/08)
柴田 錬三郎

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2010-12-18

わたくし率、イン 歯ー、または世界 川上未映子

関係者以外立入り禁止、のわたしワールド。

デビューと同時に激しめに絶賛された文筆歌手が魅せまくる、かくも鮮やかな言葉の奔流!
“わたし”と“私”と“歯”をめぐる疾風怒涛のなんやかや!第137回芥川賞候補作。(「BOOK」データベースより)

最初の1ページで、「あ、無理かも」と思いました。これはMの脳みそ(つるつる)では理解できないと。
私にとっては、これが初・川上作品なのですが、明らかにセレクトを間違えた気がする…。
でもまぁ、せっかく借りたので、理解しようとは思わず(←そうしないと1行たりとも進まないのです)駆け足で通読しました。
感想は、登場人物の一人がMに代わって語ってくれています。

「わたしわたしわたしわたしわたしわたしわたしわたしわたしうるさいんじゃぼけなすが。
おまえ何千回わたしわたしわたしゆうとんねんこら。いっかいゆうたらわかるんじゃ。わたし病かこら」

描かれているのは、肥大しきった自我ばかり。そこには読み手の存在すらもないみたい。
Mは、本に関しては「もっとサービスしてよ!楽しませてよ!」という大変我がままなお客さんなので、
こういうのはどうにもダメです。
ホラー小説―かなり不気味で、少し哀れな―としては楽しめるかもしれません。

また、この独特の文体を個性と取るか、破綻しているだけと取るかでも評価はパッキリ分かれましょう。
“わたしワールド”は同収録の『感じる専門家 採用試験』でさらに暴走し、
Mは完全に置いてけぼりにされてしまったのですが、ひとつだけ印象的な言葉がありました。

「もしも世界があるとして・あるなら世界はひとつやし・それはあたしの世界です・
 あたしが責任持てるのは・あたしの世界ただいっこ」

確かに、と頷かされもし、読みようによっては随分自分勝手なような気もする一節。
この作品自体が「これがあたしの世界やし」と主張しているような作品でした。

わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫)わたくし率 イン 歯ー、または世界 (講談社文庫)
(2010/07/15)
川上 未映子

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2010-12-13

メリーゴーランド 荻原浩

回りまわって同じ場所…なんかじゃない!

この俺が、超赤字テーマパークを立て直す?!地方都市の村興しと権力闘争に翻弄される公務員の、
可笑しくてやがて哀しき奮闘を描く「宮仕え小説」の傑作。(「BOOK」データベースより)

『オロロ畑でつかまえて』を思わせる荻原ワールド全開な一冊。
敵役とも言える天下り組や味方(のはずの)役人たちの硬直ぶりには、
誇張されている(そのままだったりして…?)とはいえ、イライラする~!
反面、自分の仕事に対する姿勢も省みせられます。環境に慣れきって、事なかれ主義になっていないか?と。
しかし、それだけに「アテネ村」の成功は痛快。まるで自分も一緒に楽しんでいるような気持ちになれます。
主人公がごくごく普通の男(むしろ、ちょっと情けない)なのも良いですね。

とはいえ“権力”という名の敵は強大、“お役所”という砦の壁は厚く…。
結局は何も変えられないのか、というかすかな空しさと、
それでも自分を変えることはできる!という確かな希望が感じられます。
この塩梅が荻原氏らしく、絶妙。
きっと主人公はもう、ぬるま湯の環境に安住することはないハズ。
メリーゴーランドでのラストシーンも美しい。

メリーゴーランド (新潮文庫)メリーゴーランド (新潮文庫)
(2006/11)
荻原 浩

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2010-12-05

11月読了本

『沙高樓奇譚』浅田次郎
各界の名士たちが集う「沙高樓」。女装の主人の元、人々は今夜も秘密を語り始める―。(「BOOK」データベースより)
再読です。
各界の成功者たちが集い、表には出せない秘密の物語を披露する…という百物語のような設定が魅力的。
刀剣鑑定や映像監督、庭師にヤクザなど様々なプロフェッショナルの世界をのぞき見れるのも楽しい。
尊王派の志士・立花新兵衛の、時を越えた真っすぐな志が切ない『立花新兵衛只今罷越候』が印象的です。

その他
『中原の虹(4)』 浅田次郎
『メリーゴーランド』 荻原浩
『わたくし率、イン 歯ー、または世界』 川上未映子
『ハゲタカ(上・下)』 真山仁
『眠狂四郎無頼控(一)』 柴田錬三郎
『ハゲタカⅡ(上)』 真山仁

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本読み人M

Author:本読み人M
8割方活字でできています。
ミステリや時代モノといった
エンターテインメント小説が大好物。
摂取した活字の感想を
吐き出して参ります。

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