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2011-04-29

神隠し 藤沢周平

分かり合えない人たち。 

市井に生きる人々の心の機微を奥深く掘り下げ、情緒豊かに紡ぎ出した独自の世界。
磨き抜かれた名品11編。(「BOOK」データベースより)

全体的に、暗めなストーリーです。
登場人物も決して魅力的なわけではなく、訳アリだったり、人格に難アリだったり。読後感は重く苦い。

中でも、理屈を超えた女心を見事に描き出した「告白」「鬼」に嘆息いたしました。
いやぁ女って、本当に思い切ったことしますね。
この辺りが男性には理解し難く、得体のしれない不気味さを感じるのかも。
「鬼」で、サチが最後に取った行動は、人によってはそれこそ“鬼”のように思えましょうが、
初めて愛した男に対する、見苦しいほどの執着が哀れです。

表題作「神隠し」では、身をひさいでいた過去から逃れられない、お品の諦観を感じました。
彼女もまた「脅迫されていながら、置き忘れた下駄を取りに脅迫者のもとに戻る」という理解し難い行動を取りますが、
この時の彼女は本当に「下駄のこと」しか考えていなかったような気がします。
それ以外のことは本当にもう、どうでも良かったのかも。
そこまで諦め切ってしまった、お品の空虚な心が哀しい。

このほかに印象的だったのは、老いた父親を引き取ったことで面倒を背負いこむことになる「疫病神」。
現代にもいる!この父親のような人。他人のことなど一切忖度しない、自分のりえき
以前読んだ『良心をもたない人たち―25人に1人という恐怖』を思い出し、ゾッとさせられました。
江戸時代も、この作品が発表された28年前も、そして今も、人間は大して変わっていないのかもしれません。

神隠し (新潮文庫)神隠し (新潮文庫)
(1983/09)
藤沢 周平

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今日から福島の両親宅に行ってきまーす。
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2011-04-17

モモ ミヒャエル・エンデ

自分の時間を慈しむこと。

町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。
そこへ「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります…。(「BOOK」データベースより)

恥ずかしながら、この有名な児童小説を今まで読んだことがありませんでした…。
時間泥棒に時間を奪われ、心を失っていくさまは、まるで現在の私たち。
「これ、いつ書かれた作品だっけ?」と思わず奥付を確認してしまいました(1973年発行)。
ムダ削減、効率第一の息苦しい現代社会に対する鋭い批判を内包しながら、
子供達でもワクワクと楽しめるファンタジー・アドベンチャー小説になっています。
“今”を慈しんで過ごすことの大切さ、人のために時間を使うことの豊かさを、やさしく教えてくれる名作。
子供の頃に読みたかったけど、その頃じゃあ多分、ただただワクワクドキドキしながら読むだけだったろうなぁ。
(子供は、時間泥棒たちにとっては手強い相手ですからな)
小難しいことを考えずに、この作品に没頭できるうちは、時間泥棒なんてやって来ないのかも。

モモ (岩波少年文庫(127))モモ (岩波少年文庫(127))
(2005/06/16)
ミヒャエル・エンデ

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2011-04-09

ベイジン(上・下) 真山仁

近くて遠い、大国。 

世界最大規模の原子力発電所「紅陽核電」。
本格送電が始まる五輪開会式当日、技術顧問の田嶋は事故の予兆を感じ、
中国側の責任者である(とう)に運転中止を訴えるのだが…。(「BOOK」データベースより引用)

かの国が持つ底知れぬパワーと暗やみの深さを感じる作品でした。私、絶対中国では働けません…。
日本と中国、“アジア人”なんて大まかなくくりは意味がない。
全く異なる文化と思考を持ち、おそらくこれからも理解し合うことは難しいでしょう。
しかし、それでも一つの目的を共有し、時に対立しながらも絆を深めていく二人がナイス。
日本人・中国人である前に、それぞれの仕事のプロフェッショナルでありました。
下巻に入るとストーリーは加速し、次々と起こるトラブルに最後の最後まで気が抜けません。
どうなっちゃうの~、と必死にページを繰っていたんですが…あの終わり方はないんじゃないですか!?
「え!?ここで終わり?」としばし呆然といたしました。
後は読者の想像におまかせ…にしては、ちょっと任せ過ぎのような。
不完全燃焼感が残ってしまいました。残念。



…と、こんな記事を書いた時は、まさかこんな事態になるとは露ほども思っていませんでした。

原子力撤廃の政策が次々と修正され(ドイツ然り、イタリア然り)、
昨年10月には日本でも国際原子力開発が設立されて、
世界的に原子力推進の流れが強まっていた矢先のこの震災。
「神の火」は所詮人間に御せるものではないことが証明されてしまいました。

福島の方々の非難の声は、きっと東電だけではなく東京人にも向けられている。
「原発はクリーンエネルギー」という言葉にはさすがに「???」と思いながらも、
無自覚に豊かな電力の恵みを享受してきた私に反論などできるはずもなく、
ただ俯いて、その非難の礫を受けることしかできません。

でも、もう無自覚ではいられませんね。

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2011-04-02

3月読了本

とりあえずメモ書きだけ。

久生十蘭短篇選 (岩波文庫)』 編集/川崎賢子
あいまいな夢と現の境目を描いた「予言」が私的ベスト。
『しをんのしおり』で触れられていた「湖畔」も読んでみたい。

精霊の守り人 (新潮文庫)』 上橋菜穂子
再読ですが、やっぱり面白い。
児童文学で、重い過去を背負った30女が主人公って、かなり斬新なのではないかしらん。

闇の守り人 (新潮文庫)』 上橋菜穂子
これまた再読。「舞のような」戦いのシーンは、鮮やかでスピーディでワクワクです。

脳に悪い7つの習慣 (幻冬舎新書 は 5-1)』 林成之
脳の「クセ」が分かりやすく書かれています。
悪い習慣を“しない”ようにするのって、良い習慣を“する”より難しい…。

火天の城 (文春文庫)』 山本兼一
職人魂に胸が熱くなる。
自然に対する畏怖を失わない建築方法がいかにも日本らしい。

悶絶スパイラル』 三浦しをん
期待を裏切らない面白さ。落ち込み気味の気分を明るくしてくれた一冊です。

神去なあなあ日常』 三浦しをん
これまた私のストライクゾーンど真ん中な青春&職業小説。
自然相手の仕事をする人たちの、おおらかな強さと謙虚さに惹かれる。ノコ(犬)もかわゆい。

天地明察』 冲方丁
面白い!渋川春海の改暦にかける情熱が爽やかに描かれています。
読み始めは、時代小説に合わない、ちょっとラノベ風味な文章が読みにくく感じましたが、
それも気にならなくなりました。

サクラ咲く
春よ来い。


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本読み人M

Author:本読み人M
8割方活字でできています。
ミステリや時代モノといった
エンターテインメント小説が大好物。
摂取した活字の感想を
吐き出して参ります。

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